2017年7月25日(火)18時30分より、港区赤坂のアークヒルズクラブにて「J-Win Executiveネットワーク2017年度7月度定例会」が開催されました。『自社ビジネスへのイノベーションの可能性を想起し、経営者としての見解を持つ 』ことも、今期のExecutiveネットワークの目的の一つです。
今回は、コーポレート・ガバナンスについて、グローバルなレベルでの知見を深めるべく、ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド、パートナー、石川 順也氏をお迎えし、『日本企業のガバナンス進化に向けて - 課題と成功の鍵』とのタイトルでご講演頂きました。
(*肩書き等は講演当時のものです。)
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド パートナー 石川 順也氏
『日本企業のガバナンス進化に向けて - 課題と成功の鍵』
【コーポレートガバナンス】
・ガバナンスは、攻めと守りの両面から、仕組みを作り、運用することがポイント。環境変化の中、経営力が優劣を決定づける。
企業ビジョンをどう実践していくかが、ガバナンスの仕組み。
【取締役会の役割】
・昨今、注目集まっているが、社外の人材比率が高いほど、また社内でも社外経験が多い人材比率が高いほど、株主利回りがよいとの分析もあり。外部人材の登用に加え、外部からのアドバイスを受容する企業体質もポイント。
【グローバル企業のガバナンス】
・グローバルM&Aが増加しているが、価格の適切性に加え、ガバナンスの実態が重要。
Decision Effectiveness = 質 x スピード x 歩留り - 労力
と表すことができるが、「労力」が日本企業では大きいとされる。
【日本企業の課題】
・日本企業の特徴は「強い現場・弱い本社」。強い現場はタコツボ化しやすい。
・本社の役割は、
①戦略立案、
②ポートフォリオマネジメント、
③資源配分、
④シナジー創出、
⑤パフォーマンス管理、
⑥オペレーションモデル設定・管理、
であるが、⑤の管理とモニタリングに注力しがち。むしろ、オーナー企業の方が戦略浸透には長ける。目標設定からのPDCA構築が重要。
・今後の課題は、
①ガバナンスと事業オペレーションの分離・区別、
②コーポレート(本社)の役割は、業務執行とガバナンスの結節点として捉え、
組織の上下・内外を繋いで回していくこと、の大きく2点。
【理想へのチャレンジ】
・日本企業がガバナンスを強化していくためのポイントは以下の通り。
①強すぎる現場の脱却、
②執行・監督は異なる能力である自覚、
③第三者目線の採り入れ、
④指名委員会のCEOに対する人事権、
⑤個人ではなく、組織の知見を蓄積する仕組みの構築、
⑥定期的な人材入替
いずれも日常行動に落とす、作った仏に創業者魂を入れることが重要。
・「コーポレートガバナンス」は、社外の目を活用したコーポレートジャーニー
役員として、自社の適切なガバナンスにどう貢献していくかは、大きな課題でもあり、興味深く講演を伺いました。多くの企業事例を踏まえながら、あるべき姿をわかりやすく説いて頂き、質問も尽きない様子でしたが、各自が業務で抱える課題の整理に役立ったようです。特に、海外に子会社を展開する日本企業としては、現状を踏まえての理想へのチャレンジを示して頂いたことで、多くのヒントを頂くことができました。終了後は、石川様はじめベイン社の皆さまにテーブルに入って頂き、懇親を深めることができました。
【石川 順也 氏のPROFILE】
東京大学工学部卒業、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士課程(MBA)修了。ベイン、デードベーリング(現シーメンスヘルスケア)、ベインキャピタルを経て、再度ベインに参画。約20年に亘り、消費財・小売、ヘルスケアはじめ、多様な業種の企業へのコンサルティング及びアドバイザリーを担当。M&A・提携戦略、組織改革、グローバル戦略等、多岐に亘るテーマの戦略プロジェクトへの参画多数。現在、ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド、パートナー。