今から8年前、私が入社して初めて異動したとき、配属先の部門で出会ったのがその上司でした。それまで私は小口のリースを扱う部門で営業をしていましたが、異動した先は大口のリースを扱い、大手のお客様を担当する部門。まったく異なる営業スタイルでしたし、異動直後に他社と合同の新規プロジェクトを手がけることになり、楽しみ半分、戸惑い半分の状態でした。
リスタートの状態だった私を、その上司は何事も経験だからと一担当者ではなかなか同席させてもらえないような席に積極的に連れて行ってくれました。今振り返ると、この時のたくさんの貴重な経験があって、たくましく育ったのだと思います。とはいえ、その当時は、そのありがたみをあまり感じてはいませんでしたが(笑)。
そして、どういう流れだったかは覚えていませんが、確か飲み会の席でその上司に「自分で自分の可能性を決める必要はない。自分で決めつけるのが、一番の成長の壁だ」と言われたのだったと思います。その時の私は「そんなことを言っても限界はあるよね」と思い、この言葉がまったく響いてきませんでした。
ところが、後になってこの言葉に助けられることも多々あり、今はこの言葉に、そしてこの言葉をくれた上司にとても感謝しています。
出産、そして異動 もうだめかも・・・
と思うたびに助けてくれる魔法の言葉
この言葉のありがたみを実感したのは、出産後に異動したときのことです。異動した先の前任者は、毎日遅くまで残業して業務をこなしていました。これまでの私は、新しい環境になっても臆することなく何にでもチャレンジしてきましたが、出産したことによって時間的な制約があり、「残業のできない私に務まるのだろうか・・・」と不安を感じてしまったのです。そのとき、ふと頭に浮かんだのがこの言葉でした。
ちょっと視点を変えれば、何も前任者と同じようにやる必要なんてないのですよね。むしろ、会社は私に新しいやり方で業務を遂行することを期待してくれているのかもとプラスに考えるようになりました。そうすることによって、「自分で限界を作らないで思う存分やってみよう」と気持ちが切り替わったことを覚えています。
その後も「もうだめかも・・・」と思うたびに、不思議とこの言葉が思い出されます。私にとって、マイナス思考から再び上昇に転じるためのスイッチのような言葉ですね。この言葉は、私を勇気付けてくれて、事態を好転させてくれる「魔法の言葉」です。
~働く女性たちへのメッセージ~
自分に限界を作っている人が多いのでは?
未確定のことに悩まないでチャレンジし続けてほしい
最近、「結婚したら」「子どもができたら」と、未確定のことに気をもんでしまい、チャレンジすることを怖がっている女性が増えたのではないかと感じています。自分から限界を作って、自らの可能性を狭めているように見えてしまいます。
女性は、ライフイベントがキャリアに大きな影響を及ぼすので、未来の出来事を想定して迷う気持ちもよくわかります。また、キャリアも含めて、何かやりたいことがある時には計画を立てることも必要です。正直なところ、私も子どもを産む前に「資格をとっておけばよかった」「語学の勉強をしておけばよかった」などと思うことは少なくありません。しかし、計画に固執しすぎてしまい、今、目の前にある可能性を見失ってしまうのはもったいないのではないでしょうか。
自分で自分の可能性を決めつけてしまったり、成長の壁を作ってしまわずに、できることから始め、ぜひチャレンジする勇気を持ち続けてほしいと思います。